「日本では動物実験はあまり行われていない」――そう思っていませんか?
結論、日本では動物実験を禁止する法律はなく、今でも動物実験が行われているのが現状です。
この記事では、日本の動物実験の実態、法規制の問題、そして動物たちの現状を徹底解説します。
日本に住む以上、「知らなかった」では済まされない現実を、一緒に見ていきましょう。
日本は動物実験が禁止されていない!

日本の動物愛護法では、動物実験を禁止していません。
むしろ、「できるだけ苦痛を減らすよう配慮する」としか規定されておらず、違反しても罰則はありません。
欧米と比較すると、日本は規制が緩いことが分かります。
国 | 動物実験規制 |
---|---|
イギリス | 政府の許可制。毎年監査あり |
EU | 化粧品の動物実験 完全禁止 |
アメリカ | IACUC(動物実験委員会)の承認が必須 |
日本 | 自主規制(研究機関が自由に決定) |
欧州ではすでに化粧品の動物実験は全面禁止。
しかし、日本ではいまだに化粧品の安全性試験に動物が使われています。

ここでは、最新のデータをもとに、日本の動物実験の実態を詳しく掘り下げ、その問題点を明らかにします。
日本実験動物協会は、合計29機関を対象とした3年ごとに実施するアンケート調査に基づき、『令和4年度 実験動物総販売数調査』を公表しました。
調査結果によると、平成16年度(2004年度)には約935万匹だった実験動物の販売数が、令和4年度(2022年度)には約318万匹まで減少しました。
これは、動物を使った毒性試験の一部が代替法に置き換わった影響があると考えられます。
一見すると「実験動物の販売数が減ったのなら問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、調査結果にはいくつかの課題も指摘されています。
まず、「哺乳類以外」の販売数が大幅に減少しています。
このカテゴリには魚類も含まれますが、EUではラットの使用数が減る一方で魚類の使用が急増し、現在ではマウスに次ぐ規模になっています。
日本でも魚類の実験利用が増えている可能性が高いものの、今回の調査ではその傾向が反映されていません。
さらに、畜産業から購入されるブタやヤギなどの家畜動物の使用数は、調査に含まれていないと考えられます。
また、日本では年間5,000匹以上の霊長類が輸入されていますが、その数も調査結果には反映されていません。
この点について、報告書では「研究機関による直接輸入や、本調査の対象外の供給元からの購入が多いためではないか」と分析されています。
最も重要なのは、この調査が販売数を基にしており、研究機関内で繁殖された動物の使用数は含まれていないことです。
近年では遺伝子操作技術の進展により、研究者自身が動物を繁殖させるケースが増えています。
そのため、販売数の減少をもって実験動物の総使用数が減ったと判断するのは難しい状況です。
日本では諸外国と異なり、政府が動物実験の使用数を統計として管理していません。
そのため、実際にどれだけの動物が実験に使用されているのか、正確なデータを得ることができないのが現状です。
この背景には、実験動物の福祉を保障する制度が日本の法律に組み込まれていないという根本的な問題があるといえるでしょう。
ただし、推定ではありますが、毎年日本で2,000万頭の実験動物の命が失われているという情報があります。

日本における動物実験で使用される主な動物種と、その販売数(供給数)は以下のとおりです。
動物種 | 販売数(2022年度) |
---|---|
マウス | 2,590,000匹 |
ラット | 480,000匹 |
モルモット | 46,000匹 |
ハムスター類 | 8,000匹 |
ウサギ | 29,000匹 |
イヌ | 3,000頭 |
ネコ | 200匹 |
サル類 | 1,843頭 |
ブタ | 4,257頭 |
また、環境省が実施した「実験動物取扱いの実態に関する調査」(令和4年度)では、年間総飼養頭数を動物別に以下のように報告しています。
- マウス:約10,001匹以上飼養している施設が多数
- ラット:約5,001~10,000匹飼養している施設が多数
- ハムスター類:約1,001~5,000匹飼養している施設が多数
- モルモット:約1,001~5,000匹飼養している施設が多数
- ウサギ:約501~1,000匹飼養している施設が多数
- イヌ:約101~500頭飼養している施設が多数
- ネコ:約1~50匹飼養している施設が多数
- サル類:約101~500頭飼養している施設が多数
- ブタ:約101~500頭飼養している施設が多数
これらの数値は、各施設の年間最大飼養頭数を示しています。
なお、これらのデータは販売数および飼養頭数に基づいており、実際の使用数とは異なる可能性があります。
日本における動物実験の現状を変えよう!
日本では、動物実験の実態が十分に把握されておらず、規制も緩やかなままです。
世界では代替技術が進み、動物実験廃止の動きが加速していますが、日本は依然として旧来の方法に依存しています。
しかし、私たち一人ひとりが関心を持ち、動物実験を行わない製品を選び、声を上げることで未来は変えられます。
動物たちが苦しむことのない社会を実現するために、まずは「知ること」から始めませんか?